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[ワールドサッカーサテライト|ワールドサッカーキング 11.01.20(No.167)掲載]


イタリア人記者が選ぶ、過去10年で最大のサプライズとは?

キエーヴォ、ローマ、ジェノア、カリアリが起こしたミラクルとは?(4/4)

文=シモーネ・アントリーニ

サプライズの誕生は小さなきっかけから

03-04シーズンにポルトでCLを制覇してからモウリーニョは出世街道をひた走ることに
03-04シーズンにポルトでCLを制覇してからモウリーニョは出世街道をひた走ることに

そのモウリーニョも、サプライズという点ではエキスパートだ。そう、03-04シーズンのチャンピオンズリーグほどサプライズ・チームが躍進した大会はなかったように思う。中でも圧巻だったのは優勝したポルトで、今から思えばモウリーニョは当時から“スペシャル・ワン”であった。そのポルトに決勝で敗れたディディエ・デシャンのモナコ、準決勝で敗れたハビエル・イルレタのデポルティーボもともに大会前はノーマークの存在だったが、素晴らしいサッカーで我々を楽しませてくれた。この10年で最も波乱含みのチャンピオンズリーグは、間違いなくあのシーズンだった。

最後にもう一つだけ、国外の舞台でとんでもないことをやってのけた“究極のサプライズ”を挙げさせてもらう。もっとも、それは今から11年前の出来事で、「ここ10シーズン」という編集部から与えられた条件に当てはまらない。しかし、本当の意味での“サプライズ”とはどういうものかを教えてくれたという点で、彼らはキエーヴォと同等の、もしかしたらそれ以上のインパクトがあった。

そのチームとは、99-00シーズンのカレーだ。当時のカレーは、フランスのセミプロリーグに所属し、選手の多くがアルバイトで生計を立てながらプレーを続けているチームだった。そんなカレーが、国内カップでカンヌ、ストラスブール、ボルドーなどの名門クラブを次々と撃破し、ナントとの決勝戦にまで駒を進めたのである。

フランスに帰化したスペイン生まれの監督、ラディスラス・ロサーノに率いられた“セミプロたち”は、初めて立つサン・ドニのピッチで堂々たる戦いを演じた。結局、1-2で敗れて4部リーグのクラブによるカップ制覇という偉業こそ逃したが、フランスのサッカーファンに大きなインパクトを残した。ちなみに、イタリアのコッパイタリア決勝にセリエBのチームが進出したことは数回あるが(最近の例では93-94シーズンのアンコーナ)、セミプロチームがそこまで勝ち上がった例は今のところない。

サプライズが生まれる要素とは何だろうか? まずベースとなるのは、無名ではあるが努力はしっかりと積んできた監督と選手たちの「自分たちの能力を世に知らしめたい」という野心だろう。更に、個々が自分のエゴに走ることなく、一致団結することができれば、サプライズの準備が整う。厳しい生存競争を勝ち抜いてプロ選手になった者に才能がないはずはなく、リオネル・メッシやズラタン・イブラヒモヴィッチのようなごく限られた“生まれ付いての怪物”は例外として、「成功を収めた者」と「まだ収めていない者」との差はそれほど大きなものではない。サプライズという言葉は大げさだが、実際はほんの小さなきっかけで、急成長する選手、監督、チームは生まれるのかもしれない。

サッカーのビジネス化が急速に進んだ現在、栄光を手にするのは、いつも膨大な資金力を持つビッグクラブである。ただ、そんな時代だからこそ我々は、お金も名声も持たないプロヴィンチャによるサプライズの出現に期待するのだろう。



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